ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2022.12.26
「人を動かす」ことについて考えてみたいと思います。これは、何をやるか、やめるかという「方向付け」「資源の最適配分」に並ぶ経営の重要要素だと、皆さんも簡単にお分かりになるはずです。
経営者の一部の人は、人は理屈で動くと思っているのではないでしょうか。けれども、人は理屈では動かないと思ったほうがいいというのが私の持論です。そんな理屈があるなら、その理屈でまず自分を思うように動かしてみればいいでしょう。そこで私が経営者の方によくお伝えするのが、人を動かすためには2つの覚悟が必要だというお話です。繰り返しますが、理屈ではないのです。
1つ目は「先頭に立って行動する」という覚悟です。戦前の海軍兵学校では、「指揮官先頭」といわれ、指揮官たるべきものは先頭に立って行動するよう厳しく求められました。これは、経営者の皆さんに「部下がやることをすべてやれ」と言っているわけではありません。それなら、そもそも部下はいらなくなりますからね。そうではなくて、重要な方針や危機の対応に関わる重要なことほど、経営者が先頭に立って行動する姿勢が必要だということです。
皆さんの中には、「自分は頭がいいのに、なぜか部下がついてこない」と悩んでいる人がいるかもしれません。それは恐らく、リーダーではなくティーチャーの役割をしているというのが原因ではないでしょうか。
例えば私は経営のアドバイスをしたり講演したりするときは、相手には面と向かって「ああすればどうですか」「こうすればどうですか」とお伝えしています。それはティーチャーの仕事です。ところがそんな私も自分が経営する会社に戻れば、十数人の社員を部下に持つリーダーです。スタンスは180度変わって、先頭に立って行動するようにしています。
「リーダーは背中を見せる」とよくいわれますが、そもそも先頭に立てば背中を見せるしかないんですね。口先ばかりのティーチャーの役割をずっとしてきた人は、社員たちに背中を見せる場面がなかったといえます。そうした口を動かすだけの経営者は、社員たちの目にどう映っているでしょうか。「さあ頑張れ」と言ったところで、「あなたこそ頑張れよ」と思われているのではないでしょうか。
海軍の連合艦隊司令長官だった山本五十六の有名な言葉に、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」というのがあります。ここで経営者の皆さんに注目してほしいポイントは、出だしの「やってみせ」なんですね。人を動かすことができないリーダー、つまりティーチャーばかりしている人は、いきなり「言って聞かせて」から入ってしまっている。だから人は動かないのです。ですから、経営者はまず自分が先頭に立って行動する覚悟が必要だと思うのです。
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執筆=小宮 一慶
経営コンサルタント。株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。十数社の非常勤取締役や監査役、顧問のほか名古屋大学客員教授も務める。1957年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。米ダートマス大学タック経営大学院に留学、MBA取得。1991年、岡本アソシエイツ取締役に転じ、国際コンサルティングに従事。1996年に小宮コンサルタンツを設立。
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どんなときでも稼ぐ社長の経営習慣