コロナの影響でオンライン販売を始めるお店は増えています。しかし実店舗とオンライン店舗では、セールスの方法が違うため、伸び悩むお店も多いかもしれません。そこで今回は、4年連続開設実績No.1(2021年度)のネットショップ作成サービス「BASE(ベイス)」の方に、ネットショップの作り方から運営にかかるコスト、ショップを成功させる秘訣など教えていただきます。最後には成功事例も教えていただいたので、新しくネットショップの開設を考えている方はぜひ、参考にしてみてください。今回、お話を伺ったのはBASE株式会社 Owners Marketing Division BASE Partners 担当中野 優太郎さまです。
ひとつは24時間営業できることです。オンライン店舗はインターネット上のため、24時間いつでも販売ができるという最大のメリットがあります。お客さまはネット環境さえあれば、夜中でも電車でも場所や時間を問わずお買い物ができるため、購入のハードルは下がります。また、実店舗と比べて在庫を多く用意できるという点もあります。実店舗ではどうしても物販のスペースが限られますが、オンラインでは在庫を保管するスペースがあれば、商品を多く抱えられます。販売スペースが不要なオンライン店舗ならではの特徴です。
対面の接客とは異なり、リアルタイムで購入意思の後押しをすることができません。そのため、チャットでの質問を受けたり、スタッフブログやSNSを使ったりして、お客さまにお店自体に興味を持っていただけるように工夫する必要があります。
商品そのものの品質はもちろんですが、集客チャネルと商品画像にこだわることで、効果が見込めます。集客チャネルとは、集客するための媒体です。たとえば、SNSやWeb広告などが挙げられますね。販売戦略はショップによってそれぞれあると思いますが、販売前・販売後も継続的に情報発信されることをおすすめします。最初は、費用をかけずに商品の魅力を伝えられるSNSから始めてみてください。たとえばInstagramでは、新しい機能を使っているユーザーを優先的に大きく表示するなど、アカウントのフォロワー数に関係なく発信を目立たせる機能があります。このようにSNSを駆使して、購入前、購入後もお客さまの興味を惹きつけることがポイントです。他には、商品画像とLPを見直しましょう。※
※LP:商品を紹介する1枚のWebページのこと。ランディングページの略。複数のWebページをLPと呼ぶ場合もある
写真は商品の魅力を伝える重要なツールです。またLPも、ショップの第一印象を大きく左右する要因になるため、魅力的に作る必要があります。人気のショップや、キレイだと思うショップを参考にしてみるのもよいかもしれません。また、動画を使った商品紹介など、お客さまがより商品の使用イメージを想像しやすいように見せることもポイントです。
まずは基本的なことではありますが、接客を真摯に行う管理体制をとることが大切だと思います。ほかには、購入後のフォロー体制・LTVとCPAの管理・SNS強化を行うことです。
購入後のフォローはどうして重要なんですか?
購入後のフォローにはリピーターをつくる役割があります。たとえば、商品が届いた際にも喜んでいただけるように梱包を工夫するなど、購入体験の向上につながる取り組みや、メルマガで新商品の情報を送るなどすることで、お客さまとの関係を構築していきます。自分のショップにしかできない価値が出せるとリピート購入につながります。商品を購入してくれたお客さまへのアプローチはとても大切です。
LTVとCPAとは何でしょうか?
LTV(Life Time Value)とは、ひとりのお客さまが一定期間を通して、ショップにもたらす利益の合計金額です。CPA(Cost Per Action)とは、ひとつの商品が売れた利益に対して、かかった広告費用です。つまり、リピーターを獲得する指標としてのLTVを上げる戦略と、なるべく広告費をかけずに利益を生み出してく指標としてのCPAを下げる戦略を考えることが重要です。
SNS強化についてお伺いします。
SNSは集客だけでなくファンづくりにも欠かせません。投稿の継続に加えて、お客さまとのコミュニケーションをはかることがポイントです。また、アンケート機能を利用して「どんな商品が欲しいですか?」といった質問をして、お客さまの意見を取り入れた商品開発につなげることも可能です。
実際、ネットショップを作るにはどの方法がおすすめですか?
ショッピングモールに出店するのではなく、自分のお店のオリジナルのネットショップを作成して、お客さまに直販したい方は、ストアフロントと呼ばれるタイプのECプラットフォームの利用をおすすめします。初めてネットショップを開設する方には、簡易な操作性のサービスをおすすめします。「BASE」ももっとも簡単にオリジナルのネットショップが作成できるサービスの一つです。商材やショップの規模、ショップオーナー様が求める機能に合ったサービスを比較検討して利用すると負担がなく、継続しやすいと思います。
プラットフォームを使用するメリットを聞いてもよろしいでしょうか?
とにかく低コストでショップの開設ができることですね。初期費用を抑えながら、ホームページ作成もネット上で販売するシステムの構築も簡単にできます。本来この作業を一から自分でする場合、プログラミングやWebデザインなど専門的な知識が必要ですが、プラットフォームを利用することで、特別な専門知識がなくても利用することができます。また、自動的に顧客管理を行えるうえ、SNSとの親和性もよく様々な負担軽減にもつながります。
プラットフォームを使用する際のデメリットや気をつける点はありますか?
プラットフォームにもより、操作性の簡易さや決済手段、各種機能やデザインをカスタマイズできる幅が異なります。ご自身のネットショップ運営に必要な条件を満たしているか確認して選んでください。
他に、おすすめのプラットフォームはありますか?
集客に自信のない方には「モール型」がおすすめです。モール型はひとつのサイトで、複数のショップが出店するプラットフォームです。出店料を払うことで、知名度の高いネットショップに出店できます。有名なものだと、楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングがありますね。
モール型をおすすめするポイントはなんでしょうか?
モール自体にお客さまがついているので、集客がスムーズに行えます。また、モール独自の決済手段を提供しているところが多く、一度アカウントを作成すると次回からもショッピングがしやすいためリピーターが購入しやすいという特徴があります。
逆に、モール型で注意する点はありますか?
価格競争に巻き込まれやすいことでしょうか。同じ商品や類似商品を販売する競合店舗が多いため、どうしても価格競争が起きやすくなります。また、商品が売れなくてもテナント料などショップの維持に必要な固定費がかかることが多いので、運営コストの試算をきちんと行うことが大事だと思います。
開業資金はどれくらい準備しておくべきですか?
ネットショップ開業資金は、利用するプラットフォームによって異なります。一般的にコストの低い順に「レンタルショッピングカート<モール<有料パッケージソフト」です。
また、利用するプラットフォームによって、初期費用や月額費用だけでなく、販売手数料やシステム利用料などのコストもかかります。詳しい料金はそれぞれの公式サイトからご覧になってください。
オンライン販売初心者がやりがちな失敗例をお伺いします。
ネット販売を開始したことに満足してしまい、集客方法やリピーター対策を考えずに運用を始めてしまい、その結果、思うように商品が売れずに停滞するという失敗例をよく聞きます。まずは始めてみて、運営しながら考えていくというやり方でも良いので、きちんと「誰に・何を・どうやって売るか」「どうやって集客してリピーターにつなげるか」など戦略と対策をきちんと考えていただき、ネットショップのメリットを活かした運営を継続的に行っていただきたいと思います。
個人で出店しているケースの成功事例をお伺いします。
水着の販売を行う元会社員の方のケースをお話しします。その方はもともと企業に所属する会社員として働きながら、副業でフリマサイトを始めました。海外から水着を仕入れて販売し、利益も出ていましたが、一度限りのお客さまがほとんどでした。そこで、リピーターをつくるためには自分のお店のファンになってもらうことが大事だと気付き、ネットショップを開設されました。そしていまでは自社ブランドを持つアパレルメーカーへと成長されたそうです。ネットショップ開設当初はフリマサイトで水着を販売していたときよりも売上が少なかったそうです。しかし、みずから行動を起こし、ネットワークを広げて、ブロガーやインフルエンサーに商品の紹介をしてもらうなど、SNSを使ったマーケティングを行い、徐々に利益を上げていったそうです。最近では人気YouTuberとのコラボ企画などもするなど、うまくSNSや動画プラットフォームを利用してファンを獲得することに成功されています。
最後に、これからネットショップを始める方へメッセージをお願いします。
ネットショップを始めるにあたり、まずは使用するサービスを検討されると思います。簡単に使えるものから、専門的な知識が必要なサービスまで様々ですので、ご自身の要望や運営スタイルにマッチし、継続的に利用できるパートナーとしてサービスを選んでみてください。集客方法も無料で使えるSNSを利用して、新商品の告知や、商品の使い方など、常に新しい情報をぜひ発信してみてください。実店舗では、店舗がお客さまとの直接の交流の場ですが、ネットショップではSNSがお客さまとの交流の場になります。対面での接客ができないからこそ、画像や動画で商品の魅力を伝え、そして、購入後もアフターフォローを徹底します。このようにして、お店のファンを獲得することが、ネットショップを成功させる近道です。
専門家プロフィール
中野 優太郎
1993年生まれ、東京都出身。大学在学中に株式会社カカクコム食べログ本部新規事業部でインターンを経験。大学卒業後、新卒でITベンチャー企業に入社。法人営業に従事。その後、化粧品会社にてWebマーケティングに従事し、2019年12月にBASE株式会社に入社。ネットショップ作成サービス「BASE」のオフィシャルパートナープログラム「BASE Partners」担当として様々な専門知識を持つパートナーと連携しショップオーナーのショップ開設・運営支援に従事。
※「BASE」はBASE株式会社の商標または登録商標です
※「Instagram」はMeta Platforms, Inc.の商標または登録商標です
※「楽天市場」は楽天グループ株式会社の商標または登録商標です
※「Amazon」はAmazon.com, Inc.の商標または登録商標です
※「Yahoo!ショッピング」はヤフー株式会社の商標または登録商標です
※「YouTube」はGoogle LLCの商標または登録商標です
※NTT西日本は本サービスの販売取次を実施します
※この記事は2021年9月時点の情報です