ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
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公開日:2023.02.28
ビジネスにクラウドストレージを取り入れることで、ファイルの円滑な共有や共同編集が可能になったり、BCP対策や導入・運用コストの削減ができたりなど、さまざまなメリットが得られます。ただし、インターネット上にデータを保管するクラウドの仕組み上、利用に際しては気をつけるべき点もあります。本記事ではクラウドストレージの必要性やサービスの選び方、情報セキュリティ対策を含めた利用の注意点などを解説します。
目次
・クラウドストレージの必要性
・ビジネスにクラウドストレージを導入するメリット
・ビジネス向けクラウドストレージサービスの選び方
・クラウドストレージのデメリット・注意点
・ビジネス向けクラウドストレージ選びに迷った場合は
・まとめ
クラウドストレージとは、クラウド上に設けられたデータ格納スペースのことで、オンラインストレージとも呼ばれます。クラウドストレージが普及する以前は、社内のデータを保存・共有する場合、オンプレミスの社内ファイルサーバーを構築・利用していました。しかし、クラウドストレージは、インターネットを経由してデータをクラウドにアップロードすることで、保存・共有します。
クラウドストレージを導入するメリットを、4つに分けて紹介します。
メリット1:場所に縛られず、簡単にアクセスできる
クラウドストレージの普及以前は、社外から社内ファイルサーバーに格納されたデータを閲覧するには、VPN(仮想専用線)などの技術を利用し、情報セキュリティレベルを担保した状態で接続する必要がありました。しかし、クラウドストレージは、インターネット環境さえあれば簡単に社外からアクセスできます。例えば出張や外回りの移動中に、クラウドストレージから資料を閲覧することも可能です。
メリット2:データ共有・共同編集ができる
社内でデータを共有する際に、現在もUSBメモリやメールを利用している企業はあるかもしれません。しかし、クラウドストレージなら、クラウドストレージ上に格納されたファイルのURLをメンバーに教えるだけでデータ共有が可能になるため、作業の手間が省けます。もちろん社内のファイルサーバーでも共有は可能ですが、誰か1人がファイルを開いている場合、ほかの人はその人の作業が終わるまで待つ必要があり、時間のロスが生じます。この点、クラウドストレージの中には、ファイルの共同編集が可能なものもあるため、ファイルの待ち時間を減らせます。例えば、議事録など資料の作成を複数人で同時に作業するなども可能です。スピーディーに作業が進められ、生産性の向上にも期待できます。
メリット3:データのバックアップやBCP対策ができる
クラウドストレージは、災害など有事の状況に置かれた場合でも重要業務を継続するための「BCP(事業継続計画)」にも有効です。たとえオフィスが何らかの災害に遭遇し、パソコンやサーバーなど物理設備に被害が及んだとしても、データをクラウドストレージ上にアップロードしていれば、事業の継続が容易になります。サービス提供事業者によっては、データの自動バックアップ機能を搭載しているクラウドストレージも用意しています。事故や災害でデータが消失しても、バックアップデータから復元できます。
メリット4:コスト削減が期待できる
クラウドストレージを活用すると、以下のようなコストの削減が期待できます。
・自社にサーバー環境を構築するための投資コスト
・サーバーの運用・管理コスト
・IT人材の人件費
オンプレミスのサーバーを構築する場合、導入時は相応の初期費用がかかる上、環境を構築するための準備期間も必要になります。運用スタート後も定期的に機器のメンテナンスをしなければならず、情報セキュリティ対策も自社で講じる必要があります。
しかし、クラウドストレージの場合は、サービス提供事業者側がシステムのアップデートやメンテナンス、情報セキュリティ対策を実施するため、ユーザー側でこれらの作業を行う必要がありません。構築作業もないため、大掛かりな初期費用は発生せず、サービス利用料のみですぐにクラウドストレージが利用できます。
ビジネス向けのクラウドストレージを選定する際は、自社に適したサービスを選ぶために、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
容量は自社に合っているか
クラウドストレージのサービスを選ぶ際は、データがどれだけ保存できるのか、「データ容量」に注意する必要があります。例えば、文書ファイルや表計算ファイルの保存が中心であれば、低容量のストレージでも十分です。しかし、動画や音声、高画質の画像など、容量が大きいデータを多く扱う場合は、大容量のストレージが必要です。容量はサービスや料金プランによって異なり、容量が大きくなればなるほど高額となります。
スマートフォンやタブレットでも操作可能か
スマートフォンやタブレットなど、パソコン以外のモバイル端末が利用できるかどうかも重要です。サービス提供事業者によってはパソコンからしかアクセスできないものや、スマートフォンやタブレットでも操作できるものの使い勝手が悪いものもあります。操作性に難があったり画面が見にくかったりすると、導入しても現場に浸透しない可能性があります。モバイル端末からクラウドストレージを利用できるようになれば、外出先でも作業を進められます。パソコンがない環境でもファイルの更新やアップロードなどができるため、情報共有や業務の効率化にも役立ちます。
情報セキュリティ性能は十分か
クラウドストレージでは、インターネットを経由して社内の重要なデータを扱うため、情報セキュリティ対策も必要になります。情報セキュリティ対策に脆弱性があると、情報漏えいによって企業の信用力が低下するなどの損害が発生しかねません。クラウドストレージに備わっている情報セキュリティ対策機能の例としては、次のようなものがあります。
・多要素認証(ID・パスワード以外に生体情報やトークンなどを利用した認証方法)
・アクセス権限の設定
・期限つき共有リンクの生成
・ファイルの暗号化
・ログ記録機能
・ワンタイムパスワード
例えば、共有リンク機能で社外の人とファイルを共有する場合、利用期間に制限を設定できるほうが、情報セキュリティ対策は強固となります。利用期限が過ぎれば自然にアクセスできなくなるため、不正アクセスのリスクを低減できます。
さらに、アクセス権限機能があると、ファイルやフォルダごとに閲覧できるユーザーを制限でき、セキュリティレベルを高めることができます。ファイルの重要度や担当する業務の範囲などに応じて閲覧制限をかけたい場合に便利です。
その他のポイントとして、情報セキュリティ対策に関係する国際規格であるISO27001に対応しているかどうかも、サービスの情報セキュリティレベルを判断する上で1つの判断基準となります。
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執筆= NTT西日本
【M】
審査 22-1179
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