ネットワークのトラブルや障害は長引くほど、ビジネスでの機会損失や顧客からの信用低下につながります。そのため発生原因を迅速に突き止め、復旧させるための備えを日ごろからしておくことが重要になります。今回はネットワークのトラブルに対応する方法を紹介します。
ネットワークトラブルシューティングの基本的な手順
ネットワークでトラブルが起きた場合のトラブルシューティングは、基本的に以下の手順で行います。
現状の把握
まずは現状把握に努めます。「何月何日何時何分にトラブルが発生したのか」「ネットワークトラブルが発生している範囲はどこか」といった基本的な情報はもちろん、「トラブル発生前と後で、ネットワーク内ハードウエア構成に変更はあったか」「トラブル発生前に落雷や停電などが発生していないか」など、過去と現状の状況を比較することもトラブルの発生源を見極めるヒントになります。ネットワーク構成をまとめた設計図もあれば用意しましょう。
ネットワーク内の機器を確認
まずは、影響範囲にある機器の状況を確認します。最初に電源のオン・オフを確認します。モデムやルーターといったネットワーク機器の多くは、動作状況を示す通信ランプを搭載しているので、点灯状態を確認します。LANケーブルを利用している場合は、接続有無や緩みの確認も必要です。そのほか、各機器の異音発生の有無、ケーブル損傷の有無なども確認しましょう。トラブル発生を確認した機器から近い順にチェックを進めていくと、問題箇所の切り分けが行いやすくなります。
ネットワーク設定の確認
上記に問題がなければ、機器の設定がトラブルの原因となっている可能性があります。例えば、IPアドレスの重複やルーターのフリーズなど、さまざまな要因が考えられるので、Windows OSの場合はコマンドプロンプト、Linuxの場合はターミナルからネットワークコマンドを使って確認します。
復旧
ネットワークトラブルの原因が特定できたら、復旧対応を行います。復旧後はトラブルの内容や実施した対策などをマニュアル化しておくと、同様のネットワークトラブルが発生した際の参考になります。
ネットワークトラブルのよくある原因…
ネットワークトラブルでよくある原因をいくつか挙げます。
ハードウエア障害
経年劣化による故障、発熱による故障などの理由が考えられます。自社で購入した機器であれば買い替え、レンタルなどであれば交換を依頼しましょう。部品の劣化によるLANケーブルの抜けや緩みといったシンプルな障害でも、広範囲に影響を与えかねません。定期的に確認するなど、対策を講じましょう。
ヒューマンエラー
従業員が誤って機器の電源をオフにしたり、間違った機器の設定をしたりといったヒューマンエラーによるネットワークトラブルもよくある原因です。ネットワークに関連した機器や各種設定は専任の技術者が対応する、といった対策が考えられます。
情報セキュリティの問題
サイバー攻撃によるマルウエアへの感染やサーバーへの大量アクセスなどの原因も考えられます。侵入検知システムの未導入など、情報セキュリティが不十分な場合は対策が必要です。
帯域不足
障害ではなく、回線が混みあっていることでの帯域不足によるネットワーク性能の低下も考えられます。ネットワーク回線を増強する、LANの構成や通信規格を見直す、ネットワークの利用状況を把握し、業務と不要な通信は遮断するといった方法で解決できることがあります。
ネットワークのトラブルを防ぐには
ネットワークにトラブルが発生しても迅速に復旧できるよう、事前に押さえておきたいポイントを紹介します。
ネットワークの監視
ネットワーク監視ツールを導入し、平常時からネットワークを監視しておくと、トラブルが発生してから検知するまでの時間短縮につながるほか、原因特定も容易になる可能性があります。
予備機の準備
ネットワーク機器が故障してから代替品を入手しようとすると、どうしても時間がかかります。自社で機器を購入している場合、予備機を準備しておけば故障時の復旧時間短縮が期待できます。機器をリース・レンタルしている場合は、故障時にどのようなサポートが受けられるかを確認しましょう。
予備回線の確保
ネットワークトラブルの原因がプロバイダーや回線事業者であった場合、基本的に復旧まで待つしかありません。複数のプロバイダー、回線事業者と契約しておくのも1つの方法です。
外部サービスの導入検討
技術者不足など、自社でネットワーク監視を行うのが難しい場合は、外部サービスを利用する方法もあります。機器をリース・レンタルしている企業がサポートサービスを提供している場合もあれば、独自でサポートサービスを提供している企業もあります。自社の状況に合わせて選択しましょう。
まとめ
ネットワークトラブルが長期化した場合、ビジネス機会の損失や顧客からの信用低下などの影響が大きくなります。トラブルが発生する前の予防や、発生後の復旧対応は常日ごろから意識しておくべきでしょう。
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