無線通信技術の1つである「Wi-Fi(無線LAN)」を、オフィスや店舗に導入しているケースは多いでしょう。しかし場所によっては、Wi-Fiの電波が弱く、ネットワークにつながりにくい場合もあります。
この悩みを解決するのが、Wi-Fi中継機(無線LAN中継機)です。手ごろな価格で快適なインターネット環境を実現できるため、Wi-Fiを利用する企業や店舗事業者にも好評です。
ルーターから発信される電波は、届く範囲に限界があります。そのため、Wi-Fiルーターから距離が離れている場所や、壁や物などの障害物があると、電波が弱くなってしまうことがあります。
Wi-Fi中継機はさまざまなメーカーから多種多様な商品が発売されています。どのような点に着目して選べばよいのか、選び方のコツを紹介します。
Wi-Fiルーターと同じ通信規格を選ぶ
Wi-Fiルーターには通信規格があり、規格によって通信速度が大きく変わります。
規格 | 最大通信速度 |
Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax) | 9.6Gbps |
Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac) | 3.5Gbps |
Wi-Fi 4(IEEE 802.11n) | 150Mbps |
※技術規格上の最大値であり、実効速度ではありません。利用環境・状況や使用する空間ストリーム数およびチャネルの数により、通信速度が低下または通信できない場合があります
2022年9月時点で最新の通信規格である「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」は、「第6世代」と呼ばれるもので、最大通信速度はWi-Fi 4(IEEE 802.11n)の64倍、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)の約2.7倍という高速通信が特徴となります。
Wi-Fi中継機を選ぶ際には、Wi-Fiルーターと同等の規格であるWi-Fi中継機を選ぶことが重要です。なぜなら、Wi-Fi中継機はあくまでも親機となるルーターの電波を中継する役割なので、親機以上の通信速度は出ません。親機よりも古い規格を選ぶと、親機の性能を活かせなくなります。
Wi-Fiルーターの周波数に対応したものを選ぶ
Wi-Fiルーターには、「2.4GHz帯」と「5GHz帯」「6GHz帯」の3つの周波数帯域が使われているため、中継機もこれらの周波数に対応したものを選ぶのがベストです。2.4GHz帯と5GHz帯の2つに対応した「デュアルバンド同時接続」、あるいは6GHz帯にも対応した「トライバンド同時接続」の中継機であれば、通信速度は落ちにくくなります。
電源の接続方法はコンセント式?ケーブル式?
Wi-Fi中継機には、本体についたコンセントプラグを直接コンセントに差し込む「コンセント式」と、ケーブルで電源につなぐ「ケーブル式」の2つがあります。
コンセント式はケーブルが絡まる心配がない点が特徴です。しかし、設置したい場所がコンセントから離れていると、結局延長ケーブルなどを使用する必要があります。
一方のケーブル式は、ケーブルが絡まる恐れはあるものの、設置場所が自由に選べるメリットがあります。特に、高いところに設置して、電波を遠くまで飛ばしたいときには有効でしょう。
情報セキュリティレベルは十分か?
Wi-Fiは情報セキュリティ対策が不十分だと、第三者がネットワークに接続できてしまいます。そのため、接続認証を暗号化することで、情報漏えいや不正な接続を防いでいます。この暗号化の種類は、主に以下の3つがあります。
1.WEP :最も古い暗号化プロトコル。解読ツールが出回っているため、現在は利用することが推奨されていません。
2.TKIP:一定の通信回数ごとに暗号キーを変更する暗号化プロトコル。安全性には難があります。
3.AES :データを一定の長さ単位に区切って暗号化する「ブロック暗号」を採り入れた暗号化方式です。最も情報セキュリティレベルが高いとされています。
Wi-Fiの情報セキュリティ対策が万全でも、Wi-Fi中継機の情報セキュリティ対策が甘いと、情報漏えいや不正アクセスなどのリスクが生じてしまいます。基本的にはWi-Fiと同じ暗号化形式を用いているWi-Fi中継機を選ぶとよいでしょう。
メッシュWi-Fiという選択肢
大規模なオフィスや店舗では、Wi-Fi中継機を複数台導入するケースもありますが、中継機の台数が増えるほど親機に負荷がかかってしまいます。しかし、わざわざWi-Fi中継機を複数台用意しなくても、「メッシュWi-Fi」という選択肢もあります。
メッシュWi-Fiとは
メッシュWi-Fiとは、網目(メッシュ)のように張り巡らされたWi-Fiネットワークのことです。メッシュWi-Fiでは、親機となるルーターに加えて、「サテライトルーター」というものを複数設置します。それぞれのルーターがお互いに電波を送信し、ネットワークを構築するため、距離や障害物、通信環境によるネットワークの性能が落ちにくいのが特徴です。
メッシュWi-Fiは、Wi-Fi中継機と何が違うのか?
Wi-Fi中継機は、ルーターの親機から発信される電波を受信し、中継機から新たに別の電波を発信することで、通信範囲を拡張します。
メッシュWi-Fiの場合は、Wi-Fi中継機に似たサテライトルーターを使用しますが、サテライトルーターは親機と同等の性能を有しているため、電波を複数に分散し、親機の負担を和らげます。結果的に、常に安定したネットワークの利用が期待できます。
メッシュWi-Fiのメリット
メッシュWi-Fiの最大のメリットは、1つのネットワークでオフィスや店舗のどこにいても安定的なネットワークの利用が期待できる点です。
例えば複数のWi-Fi中継機を使用しているオフィスだと、1つのWi-Fi中継機の通信範囲から離れると電波が弱くなりますが、他の中継機への自動切り替えは行われないため、新たに別のWi-Fi中継機や、親機のルーターにつなぎ直す必要があります。
一方のメッシュWi-Fiは、先に触れた通りサテライトルーターも親機と同等の性能を持っているため、Wi-Fi中継器ごとに切り替えを行う必要はありません。サテライトルーターの位置を気にすることなく、快適なネットワーク環境で作業ができます。
メッシュWi-Fiのデメリット
メッシュWi-Fiは、Wi-Fi中継機に比べると値段は高めです。そのためサテライトルーターを多くそろえる場合は、コストがかさむ可能性があります。
加えて、メッシュWi-Fiは電波を複数のサテライトルーターに分けて送るため、最大通信速度も下がる可能性があり、通信が遅く感じることも起こり得ます。
端末や場所を選ばないWi-Fi環境を!
現状のWi-Fi環境に不満があり、Wi-Fi中継機の導入を検討しているのであれば、NTT西日本の「スマート光ビジネスWi-Fi」がおすすめです。
※「スマート光ビジネスWi-Fi」のご契約には、NTT西日本が提供する「フレッツ光」等の契約が、最低1契約必要です
「スマート光ビジネスWi-Fi」は、端末の種類や利用環境を選ばずに、快適なインターネット接続を可能にするオフィス・店舗向けの業務用Wi-Fiです。ハイエンド6プランならWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応しているため、それ以前の規格のWi-Fiと比べ、多くの端末で同時接続しても通信の遅延が発生しにくい特性があります。
さらに導入の際には初期設定済みの機器が届くため、アクセスポイントの面倒な初期設定は不要となります。もし運用中に急なトラブルが発生した場合も、サポート専門スタッフが電話1本で対応します。
情報セキュリティ機能としては、強固な暗号化への対応、あらかじめ登録したMACアドレスのみ接続を許可する接続制限、来訪者が誤って社内システムに接続することを防ぐアクセス制限などが用意されています。
店舗に導入する際の機能としては、来訪者のWi-Fi利用情報を確認できるダッシュボード機能や、来訪者が店舗のFacebookページにチェックインする機能、Wi-Fi利用時に任意のWebページを表示する機能も備えています。
まとめ
Wi-Fi環境の快適さは、オフィスにおける仕事の質や、店舗における顧客満足度に大きな影響を与える要素の1つです。導入の際には、単に機器を設置するのではなく、オフィスや店舗全体で快適なネットワーク環境が構築できるよう、Wi-Fi中継機を使うことも視野に入れるとよいでしょう。
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