オフィスあるある4コマ(第45回)
ホテルでWi-Fiがつながらない原因
公開日:2023.02.27
クラウドストレージの活用やテレワークなど、ビジネスではインターネット接続が必須といえます。このとき、業務の効率性や快適性に大きな影響を与えるのが、Wi-Fiの通信速度(回線速度)です。本記事では、企業がクラウドストレージを活用するにあたって必要となるWi-Fiの平均速度の目安や、Wi-Fiの速度が遅くなる原因、高速化するための方法について解説します。
目次
・Wi-Fiの速度の目安
・Wi-Fiの速度が遅くなる原因
・Wi-Fiの速度を速くする方法
・Wi-Fiの情報セキュリティ対策
・速度を重視したWi-Fi選びに迷った場合は
・まとめ
ビジネスでWi-Fiを使用する際の通信速度(回線速度)について解説する前提として、まずはWi-Fiの速度に関する基本的な知識や考え方を紹介します。
Wi-Fiの速度の単位
Wi-Fiの通信速度は「bps(bits per second)」という単位で表現されます。これは、1秒あたりに転送されるデータ量(ビット量)を表す単位です。基本的に、この数字が大きければ大きいほど、Wi-Fiの通信速度は速くなります。bpsは1000倍ごとに、「Kbps」→「Mbps」→「Gbps」といった単位が使用されます。Kは「キロ」、Mは「メガ」、Gは「ギガ」をそれぞれ意味します。
この他、データ量を表す単位としては「バイト(Byte)」という単位も存在します。8ビットは1バイトに相当します。つまり、1バイトのデータ量を1秒で転送するためには、8bpsの通信速度が必要となります。バイト単位で通信速度を表すときは、「B/s」や「KB/s」「MB/s」などの表記が使われます。
通信速度は「上り」と「下り」両方が重要
通信速度は、上り・下り両方の観点から把握することが重要です。上りとは、自分の端末からデータをインターネット上にアップロードする速度、下りはインターネットから自分の端末にデータをダウンロードする速度です。上りが遅ければデータの送信速度が低下し、下りが遅ければデータのダウンロードに時間がかかってしまいます。
最近では、クラウドストレージをはじめ、インターネット経由でデータの受け渡しを行うケースが増えているため、上り・下り両方の速度が求められます。通信速度はGoogleなどの検索エンジンで「インターネット速度テスト」と検索すれば、検索結果画面から無料で調べられます。
ビジネスに必要な速度の目安
企業で快適に業務を行うために必要となるWi-Fi速度は、その企業が普段から取り扱っているデータ(ファイル)の大きさによって変わります。いくつかのケースに分けて紹介します。
・一般的なビジネスユースの場合
例えば、メールやWordなどのドキュメントファイルを送受信する程度なら、数Mbps程度の通信速度で送受信できるケースが多いです。しかし、画像などの容量の大きなファイルを扱ったり、Webサイトを閲覧するものであれば、もう少し高い通信速度が必要とされます。Web会議システムの場合も、映像や音声の遅延の発生を抑えるためには、上り・下りともに5~10Mbps程度は必要とされています。15Mbps以上あれば、フルHDなどの解像度の高いビデオ映像でも、通信状態が安定する可能性が高くなるでしょう。
実際の業務では、Web会議システムに接続したままクラウド上のファイルにアクセスするような、複数の作業を並行して進めることもあります。この場合、それぞれにデータ通信が発生するため、必要な通信速度も増大します。一般的なビジネスユースのための通信速度としては、1端末あたり20~30Mbps程度が目安といえるでしょう。
・大容量のデータ通信を多用する場合
大容量のデータを頻繁に扱う業種や職種の場合は、これ以上の通信速度が必要です。例えば1GBのファイルを、速度20MbpsのWi-Fiで転送する場合、1GBは8Gbit(8000Mbit)となるため、理論上は「8,000÷20」で約400秒、つまり6分40秒もかかることになります。しかし、Wi-Fi速度が50Mbpsならば、「8000÷50」で160秒(2分40秒)、100Mbpsならば「8000÷100」で80秒(1分20秒)に短縮可能です。したがって、大容量のデータ通信を頻繁に利用するのであれば、1端末あたり50~100Mbps程度の通信速度があれば、スムーズな通信が期待できます。
2つのユースケースを加味し、改めてビジネスに適したWi-Fiの速度の目安をまとめると、一般的なビジネスユースの場合は20~30Mbps、大容量通信を頻繁に必要とする場合は50~100Mbps程度といえるでしょう。
Wi-Fiは、常に期待通りの通信速度が出るわけではありません。Wi-Fiが遅くなる原因について解説します。
ルーターの接続方式によって遅くなる
もしWi-Fiの速度が遅い場合、ルーターの接続方式が原因かもしれません。ルーターの接続方式には「IPoE方式」や「PPPoE方式」などがありますが、一般的にIPoE方式に比べて、PPPoE方式のほうが通信速度も速く、安定性にも優れています。
同時に接続する端末が多すぎて遅くなる
使用している端末数にも注意が必要です。ルーターには、同時接続端末数の上限が設定されており、それ以上の端末数でインターネットに接続していると、通信速度が遅くなります。スマートフォンやタブレットなど、マルチデバイスで業務を行っている場合は、ルーターに接続している端末数が当初の想定より多くなり、速度が遅くなっているケースも十分に起こり得ます。
情報セキュリティツールの影響で遅くなる
セキュリティツールが回線の速度低下の原因となっている場合があります。セキュリティツールの中には、インターネット通信の安全性を常時監視する機能を有するものがありますが、ツール側の処理に時間がかかり通信速度に悪影響を及ぼしたり、許可外の通信が制限されているケースなどが考えられます。
物理的に電波が遮断される
ルーターに問題がなくても、建物の構造や建材の影響などにより、物理的に電波が遮断されるケースもあり得ます。特に鉄筋コンクリートのビルでは、ルーターから壁を隔てた場所では、電波が通りにくくなる可能性が高まります。ルーターの設置個所も床に近い場合、周囲の机などが障害になる可能性が生じるため、机や棚の上など床から距離を取って設置すると効果的です。
このようにWi-Fiはさまざまな理由で通信が遅くなる恐れがありますが、ちょっとした工夫で速度を速めることも不可能ではありません。
ルーターを増設する
同時端末数が多くて通信速度が重くなっている場合は、ルーターの増設が効果的です。ルーターを増設し、部署やフロアごとに利用するルーターを使い分ければ、1ルーターあたりの同時接続数が減るため、速度が出やすくなります。業務で使用している端末の台数を減らすのは難しいため、ルーター側の増設やアップグレードで対応するのが現実的です。
中継器を活用する
オフィスの広さや構造などが原因でWi-Fiにつながりにくい場合は、電波の届く範囲を拡張する中継器も解決法の1つです。速度そのものを向上させる機器ではありませんが、電波が届かないことを原因とした速度遅延の改善が期待できます。
Wi-Fiの接続周波数を変更する
電波同士の干渉や壁による遮断などが問題になっている場合は、Wi-Fiの接続周波数を変更することも解決法の1つです。Wi-Fiの周波数には主に2.4GHzと5GHzがあります。接続周波数の変更によって電波の干渉を防いだり、これまでつながりにくかった場所でWi-Fiが使えたりする可能性が向上します。2.4GHzは「電波の届く範囲は広いが遅い」、5GHzは「電波の届く範囲は狭いが速い」特徴があります。2022年9月からは、Wi-Fi 6E対応のルーターを使用することで、新たに6GHzの周波数も利用できるようになりました。
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執筆= NTT西日本
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