個人事業主・小さな会社の納税入門(第20回)個人事業者が法人化するなら「合同会社」の検討も

資金・経費

公開日:2024.03.05

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 事業が軌道に乗り、個人事業主から法人成りを検討する方もいると思います。そこで、最近よく目にするようになった「合同会社」という形態について、メリットは何か、制度の概要などを紹介します。

 「合同会社」は、2006年5月1日に施行された「会社法」によって新設された会社形態です。従前の「有限会社」が設立できなくなったため、米国のLLC(Limited Liability Company)を参考に、出資者の有限責任となる会社として設けられました。

 合同会社は株式会社と同様に営利企業で、公序良俗や法律に触れない限りどんな事業も行えます。株式会社との最大の違いは、合同会社は「出資者」と「経営者」が同一で、基本的に「所有」と「経営」が一致しています。一方、株式会社は、いわゆるオーナー会社の場合は株主と経営者が同一人物ですが、「株主=オーナー」がいて、その会社の事業経営は別の者(取締役)が行うというスタンスです。つまり、「所有」と「経営」が分離しています。

 会社法では、株式会社の役員を「取締役」「監査役」「会計監査」と定義していますが、合同会社はこの3つの役職を設置しないため、役員という概念がありません。合同会社は「出資者=社員」であり、「出資者」と「経営」を分けずに、「社員」である出資者全員で経営を行います。

 ただし、合同会社は自由な機関設計が可能であるため、社員が複数いる場合は、その社員の中から業務執行をする者を選択できます。これを「業務執行社員」と呼びます。業務執行社員を設置すると、業務執行社員以外の社員は、実質的には出資だけを行うことになります。さらに、業務執行社員の中から株式会社の代表取締役に近い存在である「代表社員」を定めることも可能です。

合同会社は安く設立できる

 株式会社と比較すると、設立費用が安く済むのが合同会社のメリットです。株式会社を設立する場合は定款を作成し公証人の認証を受け、他の設立書類とともに法務局に提出します。合同会社においても定款は作成しますが、公証人の認証がいらないため、認証費用の5万円は不要です。設立時に法務局に支払う「登録免許税」も、株式会社が15万円以上であるのに対し合同会社は6万円以上(表1)です。

●表1 株式会社と合同会社の登録免許税

株式会社「資本金×0.7%」または15万円のどちらか高い額を納税
合同会社「資本金×0.7%」または6万円のどちらか高い額を納税

 

 つまり、合同会社は設立時に、最低でも株式会社より14万円程度安く設立できるわけです。

「役員の改選」「決算公告」が不要…

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