個人事業主・小さな会社の納税入門(第23回)従業員の退職金、「中退共」のメリットとデメリット

資金・経費

公開日:2024.06.06

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 2024年6月に定額減税が始まりました。従業員を雇用している事業主の中には、従業員の退職金支払いの対応に迫られるケースがあります。この退職金支払いへの備えの一つとして、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する中小企業退職金共済、いわゆる「中退共」があります。中退共の加入要件の概略は以下の通りです。

1)加入条件
 中退共に加入できる会社は、①業種ごとの資本金・出資金の額、②従業員数、のいずれかの基準を満たす必要があり、①②は業種によって具体的な範囲が定められています。例えば、業種が「製造業・建設業など」は、①は3億円以下、②は300人以下。「卸売業」は、1億円以下、100人以下、「サービス業」は、5000万円以下、100人以下、「小売業」は、5000万円以下、50人以下などとなっています。中退共の加入対象者は会社の従業員となり、原則として全員加入が必要で、経営者や役員は加入できません。

2)掛け金の額
 月々の掛け金は5000円から3万円の範囲内で16通りの選択肢の中から任意で決められます。掛け金の増額については、変更前に変更申込書を提出すればいつでも変更できます(減額する場合はデメリットがありますので、後で解説します)。掛け金は全額事業主の負担となります。どのような理由があっても従業員に負担させることはできません。

 中退共の魅力は掛け金を経費で落とせる点で、これにより節税効果が生じます。他にもメリットがありますので理解しておくとよいでしょう。一方、デメリットもありますので注意が必要です。それぞれについて説明します。

中退共のメリット、デメリット

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