新規オフィスの開業、移転、テレワーク・リモートワークの浸透などで、ビジネスフォンの導入や見直しを考えている企業も多いでしょう。ビジネスフォンと一口に言っても、価格、仕様などはさまざまです。そこで今回は、【価格】に焦点を当てて、導入にかかるおおよその費用を解説します。
ビジネスフォンとは、企業のオフィスや、事業所・営業所などの各拠点で使われる法人向け電話システムです。家庭用電話機とは異なり、複数のチャンネルや電話番号を共有して、一度に多くの外線・内線通話ができるようになっている点が特徴です。主装置と呼ばれる機器(1台)とそれにひもづく多機能電話機(複数台)で構成され、主装置で入ってくる電話を制御し、各電話機に分配するような仕組みとなっています。
ビジネスフォンは、仕組みも価格も家庭用電話機とは大きく異なります。家庭用電話機の価格帯をイメージしていると、実際の費用と大きな乖離が発生したり、予算が不足してしまったりする事態に陥りがちです。導入費用の相場感をまずはしっかり把握しておきましょう。
なお、ビジネスフォンの導入には、「多機能電話機」「主装置」の機器代金と、工事費やその他の費用がかかります。
多機能電話機
多機能電話機の価格はさまざまですが、1台辺り数万円程度とされています(新品の場合)。
例えば、NTT西日本の「Smart Netcommunity αZX(情報機器)」は、スマートフォン連携機能の他に、通話開始後・終了後に最初から通話を録音できる機能、BCP(事業継続計画)対策に役立つ拠点間連携機能などが用意されたビジネスフォンです。
自社の規模や業務に適したものかどうか、十分に吟味してから導入しましょう。
主装置
主装置は、かかってきた電話を制御する機器です。いわばビジネスフォンの頭脳にあたるもので、これがないとかかってきた電話を複数のビジネスフォンに分配したり、同時に受電し通話したりすることができません。主装置には受け付けできる電話回線数や、接続できる多機能電話機の台数に上限があります。比較的小規模な拠点の場合はビジネスフォンが、数百~数千台規模のシステムを構築する必要がある大規模な拠点の場合はPBXが選ばれる傾向にあります。
なお、主装置と多機能電話機には相性による問題が発生する可能性があるため、セット販売ではなく個別に購入する場合は細心の注意を払う必要があります。
また、多くの主装置には対応する規模によって複数のタイプがあることも知っておきたいポイントです。前述の「Smart Netcommunity αZX」であれば、タイプSの場合は8チャンネル10台までの多機能電話機が接続できます。タイプMは12チャンネル40台まで、タイプLは192チャンネル576台までつなぐことが可能です。
工事費
ビジネスフォンを使うには、多機能電話機や主装置の搬入・設置・設定や配線工事が必要です。費用は事業者や規模などによりさまざまですが、少なくとも数万円程度かかります。
その他の費用
事業者によっては、出張費や通話テスト費用などが別途かかる場合もあります(工事費に含まれる場合もあります)。また、保守契約を結んだ場合は、月々のメンテナンス費用も必要です。事業者の見積もりを確認して、すべての費用が含まれているのか、別途費用がかかるのかを把握しましょう。
【必見】ビジネスフォンの導入費用を抑える2つの方法
リース契約で導入する
新品のビジネスフォンをリース契約で導入する方法も、コスト削減という観点で有効です。リース料を毎月支払う必要はありますが、初期費用はかからないケースが多いです。数十万円から(場合によっては)数千万円かかる初期費用を抑え、なおかつ新型のビジネスフォンが利用できるのは大きなメリットといえるでしょう。ただし、リース料率(契約金額の数%)が上乗せされるため、トータルの支払金額は新品を購入するときよりも高くなる可能性があります。また、リース契約終了後は電話機を返却しなければなりません。
中古機を買う
ビジネスフォンは、新品だけでなく中古品も多数流通しています。中古専門のビジネスフォン事業者もあるほどです。こうした事業者や中古品を活用すれば、主装置や電話機本体の購入コストを圧縮できます。
ただし、最新機種ではないため、スマートフォン連携機能など新しい機能が使えない可能性があります。また、部品の欠品がある場合や、耐用年数が短い点、中古品を取り扱わない通信事業者が存在する点なども注意が必要です。自社の営業に必要な機能がついているか、耐用年数はどの程度か、通信事業者は中古機の取り扱いに対応しているかといったことを確認してから購入しましょう。
ビジネスフォンに少しの追加費用で大きな価値をプラスするクラウド電話とは
新品をリース契約で導入する、中古機を買う手段の他に、もう1つおすすめしたいのが、「クラウド電話」を導入する方法です。クラウド電話とは、ビジネスフォンの主装置を、オフィス内ではなくクラウド上に設置する仕組みを採用しています。ビジネスフォンだけでなく従業員のパソコンやスマートフォンで会社宛ての電話を受電できたり、相手に固定電話番号を通知して発信する(※1)など、外回りが多い職種や、テレワーク・リモートワークが多い企業に適しています。
NTT西日本が提供する「ひかりクラウド電話 for Microsoft Teams」なら、従業員のパソコンやスマートフォンに入っているMicrosoft Teams(※2)上で、受電・架電を行うことが可能です。また、Web会議、テキストチャットなど、Teamsの機能も通常通り使えます。
このように、自社のツールや、テレワーク・リモートワーク環境に合ったサービスもあるので、ビジネスフォンだけでなくクラウド電話にも視野を広げて調べておくと良いでしょう。
まとめ
ビジネスフォンを導入するには、主装置や電話機代のほかに、工事費、諸費用がかかること、コストを圧縮するには、リース契約を結ぶ、中古機を購入するといった方法があることなどを説明しました。
他に、リース契約に近い料金体系でテレワーク・リモート環境に適したビジネスフォン環境を構築できるクラウド電話についても紹介しています。
一口にビジネスフォンと言っても、システムや価格、選択肢はさまざまです。幅広いサービスを知った上で比較して、自社に会ったサービスを選びましょう。
※1ご使用中の電話番号を「ひかりクラウド電話 for Microsoft Teams」にて継続してお使いいただくには番号付け替え工事が必要です。この場合、元の電話機では既存の電話番号をご利用いただけなくなります
※2「ひかりクラウド電話 for Microsoft Teams」のご利用には、「フレッツ光」等(「フレッツ 光クロス」「フレッツ 光ライト」を除く)やプロバイダー、ひかり電話オフィスA(エース)、Office365またはMicrosoft365、及びTeams電話スタンダード(Phone Standard)の契約・料金が必要です
※「Microsoft Teams」はMicrosoft Corporationの商標または登録商標です
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