テレワークの普及や、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、ビジネスフォンの運用見直しや更新、新規導入を検討する企業が増加傾向にあります。そこで今回は、ビジネスフォンの基礎知識や、費用や選び方など、覚えておきたい情報をお伝えします。
ビジネスフォンとは、企業のオフィスや、事業所・営業所などの各拠点に設置する電話システムです。ビジネスフォンは家庭用電話機とは異なります。複数のチャンネルや電話番号を共有し、一度に多くの外線通話・内線通話ができるようになっているのが特徴です。複数のチャンネルや電話番号を共有して通話するビジネスフォンは、多くの企業のオフィスに導入されています。
中小企業の場合、「ビジネスフォンがなくてもよいのでは?」という意見もあるかもしれません。最近は、従業員に社用のスマートフォンを支給する企業が珍しくないうえ、コロナ禍で急速に普及したテレワーク・リモートワークにより、社外で仕事を行うケースも増えています。個人経営や従業員数がわずかという企業であれば、ビジネスフォンがなくても支障がないケースもありそうです。しかし、オフィスがあって会社の電話を設置するなら、次の2つの理由からビジネスフォンを導入するとよいでしょう。
理由1:ビジネスフォンなら、1回線で複数チャンネルによる外線通話ができる
ビジネスフォンは、1台の主装置とそれにひもづく複数台(2~500台程度)の電話機によって構成されます。この構成により、電話回線・電話番号を1つ用意するだけで複数チャンネルによる外線通話を同時に行えるようになります(同時通話可能な最大チャンネル数は、電話回線の契約によって異なります)。
理由2:複数拠点がある場合、家庭用電話機は拠点をまたいだ内線通話ができない
高性能な家庭用電話機には内線機能がついているものもあります。しかし、オフィスが複数拠点ある場合には、家庭用電話機では拠点をまたいだ内線通話ができません。そのため、拠点間で電話のやり取りをするには通常の外線として発信することになり、通話料が発生する場合があります。
ビジネスフォンの導入費用相場は?
ビジネスフォンの導入や更新を検討している方にとって、気になるのは「どのくらいの予算が必要なのか」「できるだけ費用を抑えられないか」という点ではないでしょうか。ビジネスフォンの導入にかかる主なコストは、電話機本体や主装置の「機器代金」と「工事費」です。
なお、導入費用について詳しくは以下の記事で徹底解説します。ぜひ一読ください。
ビジネスフォンの【価格】はどのくらい?導入費用の相場&月額料金比較
ビジネスフォンの選び方【4つの観点】
社内コミュニケーションはスマートフォンやパソコンを使ったビジネスチャット、社外コミュニケーションはメールが中心という企業は多いでしょう。こうしてみると、社内外のコミュニケーションにおける電話の存在価値は低下していると感じるかもしれません。しかし、複数の回線を共有して一度に多くの外線・内線通話ができるビジネスフォンは、コストと利便性を同時に満たすことのできる企業にとって必要な存在です。では、どのようにビジネスフォンを選べばよいのでしょうか? 選び方のポイントを解説します。
ポイント1:自社の拠点数から選ぶ
まず、自社の拠点数と状態について考えます。自社の拠点が1つだけの場合、「1拠点が複数フロアに分かれている場合」「ワンフロアだけだとしても面積が広く、デスクが離れていて電話の取り次ぎが必要な場合」には、コストと利便性の観点からビジネスフォンの検討・導入の余地がありそうです。なお、自社の拠点が2つ以上の場合は、前述の通りビジネスフォンを導入すべき、と言えそうです。
ポイント2:従業員数から選ぶ
オフィスが広くなく、1台の電話をすぐに取れる環境であるなら、家庭用電話機でよいかもしれません。しかし、従業員が複数いる場合や、オフィスの面積が広い場合は、ビジネスフォンを導入したほうが便利になるでしょう。
従業員が10~300人程度の企業であれば、ビジネスフォンを導入すべきです。従業員が300人以上の企業の場合は、規模的にビジネスフォンでは賄えない可能性が高くなるので、PBX(構内交換機)を用いたシステムを組むことになります。
ポイント3:必要な機能から選ぶ
ビジネスフォンであれば、どのメーカー・機種でも内線通話、外線通話、着信転送、保留、留守電、営業時間外のメッセージなどの基本機能を備えています。ただ、やみくもに多機能な機種を選ぶとコストがかさみます。自社に必要な機能を見極めて選びましょう。その際に必要なのは、自社が提供しているサービスや、よくかかってくる電話の内容を整理することです。コールセンターなどユーザーからの問い合わせ対応が多い業種は、IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答)機能や通話内容の録音機能があると、従業員の業務負荷を減らせます。テレワークが普及している職場では、スマートフォンを使った内線機能の有無をチェックしましょう。
ポイント4:働き方のスタイルから選ぶ
オフィスに出勤して、自分のデスクで作業する場合は、通常のビジネスフォンで問題ありません。なお、コードレスタイプを導入すれば、席替えや配置換えの際に電話機の配線を直す手間がいらず便利です。外回りの営業や出張が多い場合は、スマートフォンに専用のアプリを入れて内線を取れるタイプのビジネスフォンや、会社の代表電話番号でスマートフォンから発信・着信ができるビジネスフォンあるいはクラウド電話がよいでしょう。
クラウド電話は、インターネット回線を利用して通話を制御するのが特徴です。主装置をオフィスに設置する必要はなく、インターネット回線とパソコンやスマートフォンなどの端末があれば利用できます。現地での電話回線工事や専用の電話機を購入する必要はありません。テレワーク・リモートワークが多く、オフィスにあまり人がいない企業の場合も、クラウド電話を使えば代表電話番号で受発信できるものもあります。
自社に合ったビジネスフォン選びが事業成功の第一歩
ビジネスフォンを選ぶ際は、ここまで述べたように自社の規模や業務内容、ワークスタイルに目を向けて考える必要があります。そして、必要な機能を見極めることが、費用を抑えて自社に適したビジネスフォンを選ぶポイントです。特に自宅や外出先など、オフィス以外の場所にいる際の使い勝手は重要です。
クラウド電話なら、ニューノーマルな働き方に貢献
クラウド電話は、機器設置や配線工事が不要なうえ、パソコンやスマートフォンといった普段の業務で使用している端末を利用できます。例えば、NTT西日本の「ひかりクラウド電話 for Microsoft Teams」は、Microsoft Teams(※1)を使い、パソコンやスマートフォンなどで、固定電話番号での外線通話ができるサービス(※2)です。また、電話だけでなくチャットやWeb会議などテレワーク・リモートワークに便利なMicrosoft Teamsの機能を利用できます。
ひかりクラウド電話 for Microsoft Teamsは、「オフィスにかかってきた電話をテレワーク中の従業員に取り次ぐケースが多く業務に支障が出ている」「Web会議や電話など、通信手段別に端末を分けるのが面倒」「これまで使用しているビジネスフォンのコストを抑えたい」など、さまざまな課題解決に役立つ可能性を秘めています。
まとめ
従業員全員が出社して業務することが当たり前だった時代から、今後はテレワーク・リモートワークなど多様な働き方を組み合わせて柔軟に対応する時代になるとされています。自社の事業内容や業務実態に目を向け、どのようなコミュニケーションの手段が適しているかを考慮してビジネスフォンの必要性や選び方を改めて考えてみてはいかがでしょうか。
※1「Microsoft Teams」はMicrosoft Corporationの商標または登録商標です
※2ご使用中の電話番号を「ひかりクラウド電話 for Microsoft Teams」にて継続してお使いいただくには番号付け替え工事が必要です。この場合、元の電話機では既存の電話番号をご利用いただけなくなります
※「ひかりクラウド電話 for Microsoft Teams」のご利用には、「フレッツ光」等(「フレッツ 光クロス」「フレッツ 光ライト」を除く)やプロバイダー、ひかり電話オフィスA(エース)、Office365またはMicrosoft365、及びTeams電話スタンダード(Phone Standard)の契約・料金が必要です
※掲載している情報は、記事執筆時点のものです