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公開日:2023.03.02
世界各国は気候変動に悪影響を与えると考えられる二酸化炭素の排出を、限りなくゼロに近づける「脱炭素社会」の実現に向けた取り組みを推進しています。この脱炭素社会を実現するには、政府だけでなく、経済活動の担い手である各企業の協力が欠かせません。本記事では、なぜ脱炭素社会を実現することが重要なのか、脱炭素社会の実現のために個々の企業ができる取り組みとは何かを解説します。
目次
・脱炭素社会とは温室効果ガス排出量が実質ゼロの社会
・環境省が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現
・脱炭素社会が求められる背景
・脱炭素社会実現に向けた施策
・環境省が行う補助制度一覧
・脱炭素社会実現の可能性は
・まとめ
脱炭素社会とは、化石燃料に頼った技術や生活から脱却し、二酸化炭素の排出量を限りなくゼロに近づける社会のことです。
地球温暖化の原因であると考えられている温室効果ガスには、二酸化炭素をはじめ一酸化炭素、メタンなどが含まれます。この中でもその大部分を占めているのが二酸化炭素であるため、「脱炭素化」が重要視されています。太陽光発電や風力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギーの利用を促進したり、電気自動車などのクリーンなエネルギーで動く技術を普及したりするのも、脱炭素化に向けた取り組みの1つです。
カーボンニュートラルとの違い
脱炭素社会と関連性の深い概念として、「カーボンニュートラル」が挙げられます。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と吸収量を相殺させて実質ゼロにすることです。「ネットゼロ」という言葉も、基本的にはカーボンニュートラルと同じ意味合いとなります。
現在の技術レベルでは、二酸化炭素をまったく排出しない(化石燃料をまったく使わない)で、従来と同等のエネルギーを確保するのは難しいのが実情です。例えば、最近では電気自動車が普及しつつありますが、飛行機や貨物船などを電気で動かせるようになるにはまだ多くの時間がかかることが予想されます。
このような事情から、ある程度は二酸化炭素が排出されるのを許容する替わりに、排出された二酸化炭素を大気中から除去しようというのがカーボンニュートラルの考え方です。実際の手段としては、植林や二酸化炭素を吸収・除去する技術を開発することで、カーボンニュートラルを推進できます。
脱炭素社会は二酸化炭素排出量を限りなく「ゼロ」に近づける社会を示しますが、その過程でどうしても二酸化炭素は排出されるため、カーボンニュートラルによって排出量の「プラスマイナスゼロ」をめざしているのが現在の状況です。
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低炭素社会との違い
脱炭素社会と類似した概念として「低炭素社会」もあります。低炭素社会とはその名の通り、二酸化炭素排出量が少ない社会です。化石燃料の使用量を減らし、二酸化炭素排出量を低くするという考え方となります。低炭素社会のコンセプトを発展させたものが、脱炭素社会となります。実現のプロセスとしても、脱炭素社会を現実にするためには当然、前段階として低炭素社会になることが必要です。
日本の環境省は2050年までにカーボンニュートラルを実現することを宣言しています。具体的には、2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減することを中間目標とし、その後2050年までにカーボンニュートラルを実現するという計画です。
この宣言に先駆けて2020年10月、菅義偉首相(当時)は所信表明演説において、気候変動対策はもはや経済成長の制約にはならないと強調し、カーボンニュートラルを本当に実現するために考え方を切り替えていく必要性を語りました。2050年までにカーボンニュートラルを実現するという宣言は、アメリカやEUもすでに行っています。
世界的に脱炭素社会の実現が求められる背景としては、いくつかの理由が考えられます。
地球温暖化の深刻化
世界が脱炭素社会の実現に向けて動き出した理由の1つは、温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化が深刻な問題になっているからです。産業革命以降、人間が生み出す温室効果ガスは増加の一途をたどり、地球の平均気温は2020年時点で19世紀の工業化以前と比べて約1.1度上昇したと報告されています。
温暖化によって、台風や洪水、熱波などの異常気象や海面上昇による海岸線の浸水など、人々の暮らしや生命を脅かす多くの自然災害が頻発する恐れがあります。さらに、干ばつによる食糧不足の発生も憂慮されます。このような事態を防ぐため、温暖化の原因となる温室効果ガスを削減することが求められています。
化石燃料への依存
化石燃料への依存を解消するのも、脱炭素化の目的の1つです。現在、日本における主要なエネルギーは石油や石炭、天然ガスなどといった化石燃料に大きく依存しており、しかもそのほとんどは海外からの輸入に頼っています。
こうしたエネルギー資源は有限のものであり、国際情勢の緊張などによって供給が不安定化することも懸念されます。そのため、再生可能エネルギーの利用や開発を進め、化石燃料への依存から脱却することが重要になる、というわけです。
運送業の脱炭素化の遅れ
日本においては、各国に比べて運送業における脱炭素化が遅れていることも懸念されています。環境省の資料「2020年度(令和2年度)温室効果ガス排出量(確報値)について」によると、電気・熱配分後の二酸化炭素排出量において、運輸部門は産業部門に次いで大きな割合(19%)を占めています。
運送業における運搬手段である飛行機や自動車の動力は、現状は化石燃料が主流です。逆に言えば、欧米と比べて遅れている運送車両の電動化などを進めていくことで、脱炭素社会へ向けて大きく前進できることになります。
世界人口の増加
国連経済社会局人口部が2022年に発表した「世界人口推計2022年版」によると、世界人口は2022年中に80億人を突破し、2050年までに97億人に到達する見込みです。世界人口が増加していく中で、これまで通りのエネルギー政策を維持していけば、二酸化炭素の増加はさらに加速していくことでしょう。そのため、人口の増加と共に増大していくエネルギー需要を満たしつつ温室効果ガスの排出を抑制するために、脱炭素化に取り組むことが重要です。
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執筆= NTT西日本
【MT】
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