中小サービス業の“時短”科学的実現法(第16回)作業の無駄をなくして生産性を向上

業務課題 経営全般 スキルアップ

公開日:2024.03.01

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 前回までは第2ステップとして「人員配置の無駄をなくす」方法を説明してきました。今回から第3ステップ「作業の無駄をなくす」の解説に進みます。

第3ステップ「作業の無駄をなくす」

 私は、生産性向上とは「お客さまがしてほしいこと」と「現場のスタッフがやろうとしていること」の共通部分の極大化だと考えています。これを表すベン図が、「顧客の要求」「スタッフの行動」の2つからなる集合モデル(図1)です。

図1 サービスを定義する

 このモデルは、サービスとは何かという概念を整理する上でとても便利です。「要求」と「行動」が重なる共通部分が、お客さまが求めるサービスです。重ならない一方の部分が、お客さまの要求はあるのにスタッフが何もしない「不満」となり、もう片方は要求もないのにスタッフがオペレーションを一生懸命やっている「無駄」となります。つまり、サービス、不満、無駄を1つのモデル上で定式化できるのです。

 この集合モデルを「サービス・キネティクス原則」と呼んでいます。キネティクスとは運動力学という意味です。要求と行動がそれぞれ影響し合いながら、時間とともに連続して変化していくという理由から、このように名付けました。

図2 サービス・キネティクス原則

アプローチ8 サービス・キネティクス原則 ~「スタッフの行動」と「顧客の要求」を重ねる~

 無駄を省く第一歩は、この集合モデルから現場を見渡し、業務プロセス全体を整理することです。業務単体で効率性を見るのではなく、サービスの提供プロセス全体を見て、どの業務がどんな付加価値を伴っているのかを検証します。

 業務のすべてを「仕事」「作業」「無駄」の3つに分類する手法も使いながら、「顧客の要求」と「スタッフの行動」の共通部分に該当するかを調べていきます。千葉県を中心に50店舗以上の理美容室を直営でチェーン展開するオオクシでは、現場の業務を「削減しても顧客満足に影響しない」と「強化すれば顧客満足が上がる」の2つに分けるため、日々棚卸しをしています。

 繁華街などにある理美容室に比べ、街中にある理美容室は一般的に地元客中心で、その商圏は大きくありません。リピート客が少ないとたちまち客数が減り、お店を維持できなくなります。そのため、大串哲史社長はリピート率に着目しました。

感覚的に評価しない…

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執筆=内藤 耕

工学博士。一般社団法人サービス産業革新推進機構代表理事。世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

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