ビジネスを加速させるワークスタイル(第15回)
似ているようで違う、法人向け光回線の選び方
公開日:2024.11.01
第21回から第5ステップ「事業戦略を立て直す」を説明しています。事業戦略を立て直す方法として、第21回にアプローチ11「大口取引よりも、小口取引」、第22回と第23回でアプローチ12「作業平準化のビジネスモデル」を解説しました。今回は3つ目のアプローチ13を紹介します。
お客さまの要求に現場で応えていくのがサービスなので、サービス業はお客さまがいなければ成立しません。従って、何か商売を始めようと思ったとき、どのような人がいて、その人たちが何を求めているのかを考えなければなりません。
人が外出先で空腹を感じたとき、その人は空腹を満たすために「何か食べたい」と思うはずです。しかし、そこで食べたいものがあっても、たまたま持ち合わせているお金が少なければ食べられない場合もあります。また、どんなに食べたいものがあるからといって、人はどこまでも移動できません。つまり、何かしたいと思っても、現実的な「制約」を考慮して、限られた選択肢の中から最適なサービスを選択しているのです。
一方、サービスを提供する側も、何か商売をしたいと思っても何でもできるわけではありません。店を構えると、その後何かあっても簡単には移動させられません。また、従業員の人数やスキルはサービスの内容や品質を決め、店舗面積は最大客数を決めます。会社側も「制約」の中でサービスを提供しています。
つまり、そこにいるお客さまの制約が潜在的な要求をつくり、それを受けて提供すべきサービスの内容や規模が決まってしまうのです。さらに、そこにいるお客さまが時代の流れの中で変化していくと制約も変わっていき、それによって要求も変化します。そうなると、これまで提供していたサービスの内容を変えなければならなくなります。
製造業は、場所がどこであっても同じ商品を作れるため生産の立地の制約をほとんど受けません。ただ、どこで作っても同じなので、大変厳しい国際的市場競争にさらされます。
お客さまありきのサービス業は、お客さまがいるところでしかサービスを提供できないため、製造業のように国際的な市場競争にさらされないというメリットがあります。しかし、そこにいるお客さまが変わっていけば、サービス内容もそれに合わせて変えていかなければならない厳しさがあります。
顧客の変化に合わせてサービス内容を変化させた実例を紹介しましょう。芳野病院は北九州市若松区にある中規模病院です。1913年に故・芳野三郎氏が開業した頃は性病治療もする診療所でした。当時の若松は石炭の積み出し港として栄えており、国内外の船員や港湾労働者で花柳界は賑(にぎ)わい、性病患者も多かったからです。
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執筆=内藤 耕
工学博士。一般社団法人サービス産業革新推進機構代表理事。世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。
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中小サービス業の“時短”科学的実現法