物価上昇や人件費の上昇など、数年前まででは考えられなかったような状況が企業を飲み込んでいる。従来と同様に業務をこなしているだけでは、企業自体も部門も業績を上げ続けることが難しい時代になった。そこで、今回は「総務部」の業務を中心に、経費削減のポイントをチェックしていこう。今回ご紹介する8つのアイデアを少しずつでも採り入れていくことで、総務部が主導する経費削減が実現できるだろう。
会議には、紙が不可欠で伝票は紙にハンコ――といった時代は過去のもの。紙に印刷すると、用紙代から印刷コスト、保管コスト、最終的には破棄のためのコストまで、重層的にコストがかかる。コロナ禍では慣れないまでもオンライン会議でペーパーレスの会議を行ってきた。印刷しない代わりにデータでやり取りする文化を根付かせ、不要な印刷を削減したい。SDGsの観点からも、紙の廃棄物を増やすことは避けていきたい。
(3)カウンター料金を安くする
コピーやFAXなどに利用する複合機のカウンター料金は、印刷の利用とともにかさんでいく。前項のように紙の印刷を減らす努力ができれば、成果としてカウンター料金の削減につながる。また、カラー印刷を減らす、2ページを1ページにまとめる「2in1」などの集約印刷を標準にする、受信したFAXはデータで確認するなどの手段を徹底することで、カウンター料金の引き下げにつなげることができる。
(4)印刷し放題サービスを利用する
リースした複合機などを利用しカウンター料金を支払っている場合に、変革の1つの手段として定額制のプリンターレンタルサービスの利用がある。定額のレンタル代金を支払うだけで、インク代、カウンター料金、メンテナンス出張費、本体交換代金などは別途かからない。印刷量との兼ね合いで、印刷し放題サービスとして有効に利用できるケースがある。
(5)ペーパーレス化を行う
最も根本的な解決策が、社内のペーパーレス化の推進だ。基本的なやり取りはデータ化し、請求書や経費などに関連する業務もクラウドサービスを活用していけば、紙を減らすことは可能だ。また、何らかの感染症の拡大など不測の事態に陥った場合にも、ペーパーレスでクラウドサービスなどを活用していれば、すぐに総務人事などの業務を在宅に切り替えることも可能だ。
インターネットや電力も経費削減の対象に
(6)インターネット通信費の不要なオプションを見直す
インターネットは企業にとっても不可欠なインフラになっている。情報の入手、顧客との連絡、クラウドサービスの利用など、用途には事欠かない。一方で、「必要だから」と聖域になっていたり、過去の契約からの見直しがされていなかったりする。契約が適切なものか、不要なオプションに加入したままになっていないか、チェックしてみることから経費削減に手をつけていきたい。
(7)インターネット乗り換え割引を利用しつつ、電話と同時加入を行う
インターネット接続サービスも、通信事業者の乗り換えで割引が得られることがある。高速なサービスが従来よりも安価に提供されていて、乗り換え割引を併用することで経費を抑えられる可能性もある。さらに、インターネットと電話回線を同時加入するなどで、インターネットの固定費用を下げられるだけでなく通話料金の抑制にもつながる。
(8)電気代を見直す
電力料金が高騰している。一時期ほどではないまでも、従来から比較すると大きなコストになっていることは間違いない。あるタイミングでコストが安くなるとして契約している電力事業者が、今も継続して安いとは限らない。多くの事業者から比較検討できる時代だけに、見直しを適宜行いたい。事業所に自由に使える屋根などがあるようなら、太陽光発電システムを導入して、電力を自家利用したり、余剰電力を売電したりすることも検討しよう。自治体などの補助金を活用できれば、大きなコスト負担なく導入が可能な場合もある。
ここまで、8つのポイントを見てきた。これらをヒントにして、自社の状況に合わせて経費削減に1歩ずつ取り組むと良いだろう。何から手を付けていいか、どう対処したらいいか迷ったら、専門家に相談することも有効な手立てだ。