知っ得!生成AIの意外な業務活用(第1回)生成AIの“現在地”とその活用事例

時事潮流 デジタル化

公開日:2024.06.27

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急速に進化する生成AI。人間と遜色ない意思疎通も実現

 生成AIの活用を通じて、業務効率化や生産性向上を実現する企業事例が着実に増えてきた。ここでは、そうした“意外な業務活用”のケーススタディーを紹介していきたい。その前にまずは、「生成AI」という存在について少し整理していこう。

 

 最近では、「生成AIにも聞いてみよう」とスマホのChatGPTアプリなどで質問文を入力してみる方法もごく普通になってきた。生成AIは、友だちや先生など、人間に聞いたときのように文章で答えてくれて、分かりやすく、親しみやすいという話もきく。一方で、誤った情報を返す、学習データにはない架空の情報を創作する(「ハルシネーション」と呼ばれる)などの問題があるので慎重に利用する必要もある。

 そもそも生成AIとはテキストなどでの質問に対し、文章、画像、動画などのメディアを応答として生成する「AI」(人工知能)の一種。2022年11月末、米OpenAIが「ChatGPT」を公開すると大きな話題となり、12月にはユーザー数が100万を超えたという。2023年2月、有料版の「ChatGPT Plus」、3月には「ChatGPT API」が公開された。なお、APIはプログラムなどで活用できるため、生成AIサービスの利用範囲が画期的に拡大した。

 ChatGPTより少し前には、米Midjourneyの「Midjourney」、英Stability AIの「Stable Diffusion」など内容をテキストで入力してAIが画像を生成する「画像生成AI」も話題となった。生成画像の緻密さ・美しさ、品評会で入賞した、などがニュースで大きく取り上げられ、悪用の可能性や著作権問題なども取りざたされつつ、広く使われるようになった。OpenAIも「DALL・E」という画像生成AIサービスを提供しており、最新の「DALL・E3」はChatGPT上から利用できる。

 各社が独自の生成AIの開発や既存の生成AIを利用したシステム開発にしのぎを削る中、2024年5月13日、OpenAIが新しい生成AIモデル「GPT-4o」の提供を開始した。「o」は「omni(オムニ)」の略で「すべての」という意味で、OpenAIは「音声、視覚、テキストをリアルタイムで判断できる新しいフラッグシップモデル」と称している。ChatGPT上で使えて、テキストの他の音声や画像、PDFなどによる入力・出力が可能(「マルチモーダル」)。応答速度が大幅に向上、まるきり人間同士のような会話を行うことができるという。

 ところで、ChatGPTにおいて初期の生成AIモデルである「GPT-3.5」では2022年1月まで、次のモデル「GPT-4」は2023年12月までの情報の学習であるなど、最新事柄に疎い傾向があった。しかし、GPT-4oは、インターネット上の情報も検索することで、最新の情報にも対応できて使い勝手が大きく上がっている。筆者が使ってみたところ、直近のスポーツの結果や経過においても、ほぼ的を射た答えが返ってきて、「これは使える」と確かな手ごたえを感じた。

活用のコツは、「課題の抽出と明確化」

 文章や画像、音楽、動画、プログラミングスクリプトなどを生み出せる「生成AI」。ビジネスの利活用を考える上でも大きな力になるだろう。例えば、業務での利活用としては、チャットインターフェースによる利用者との会話や、定型業務の自動化・効率化、クリエーティブ作業の補助、広告コンテンツの低コスト作成、非エンジニアによるスクリプトやプログラム作成など、さまざまな用途が想定される。

 この点、業務での生成AI利用で大切なのは、業務上の課題を抽出・明確化すること、そして、どの問題解決に生成AIを使うかを判別することだ。これには、デジタル庁「行政での生成AI利活用検証から見えた10の学び」が参考になる。この文章は「2023年度 デジタル庁・行政における生成AIの適切な利活用に向けた技術検証を実施しました」に記されている技術検証により得た知見をまとめたものだ。この内容については、こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてほしい。

 それでは、以下で企業における生成AI活用のケーススタディーをいくつか見ていこう。

社内文書の検索に、生成AIの要約機能を活用…

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執筆=青木 恵美

長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。

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