税理士が語る、経営者が知るべき経理・総務のツボ(第105回)夏の帰省、家族で「相続」の話をしてみませんか

業務課題 経営全般 資金・経費

公開日:2024.08.20

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 「相続」を話題にする機会といえば、別々に暮らしている家族が一堂に集まる夏も多いのではないでしょうか。今夏はコロナ禍後、久しぶりの帰省という方も少なくないでしょう。「相続」に自己がかかわるのは、通常、「親や配偶者(被相続人)」が亡くなり、その相続人の1人となる場合と、自己が死亡し被相続人となる場合です。

 何が起こるか分からない昨今、「相続(相続税)」や「贈与」などの相続対策について、「もっと話し合っておけばよかった……」とならないように、家族の皆さんがそれぞれ存命のうちに話し合っておくことをお勧めします。

 相続財産を相続(取得)した相続人が納付する「相続税」は、「相続税の基礎控除の金額」以下の「相続財産(評価額)の合計額」であれば課税されず、税務署への申告も必要ありません。相続税の「基礎控除額」は、一律の金額(3000万円)に相続人の人数で加算される金額(1人600万円)で計算されます。

 例えば、父(被相続人)が亡くなり、相続人が母(配偶者)と子ども2人(長男・長女)の場合、相続人数は3人で3000万円+(600万円×3人)=4800万円となります。ちなみに、子の子ども(親にとっては孫)は代襲相続人(子が既に亡くなり相続権を失っているときに相続人となること)となる場合を除き、基礎控除額の計算上の相続人(法定相続人)とはなりません。

 「相続財産(評価額)」の金額は、国税庁が定めた「財産評価基本通達」で、財産の種類ごとの具体的な評価方法などに基づいて計算した評価額となります。例えば、被相続人が居住していた居宅とその敷地の相続税の評価額は、「売ったらいくらになるか」ではなく、建物価額は「固定資産税の評価額」、土地は各国税局が公表している「路線価図」や「(固定資産税の評価額に掛ける)評価倍率表」を基に個々の評価額を算出します。

相談時には、
①固定資産税の通知書
②預貯金残高が分かるもの(通帳など)
③有価証券の取引明細書
④生命保険金が分かるもの(保険証書など)
⑤ゴルフ・リゾートホテル等の会員証
などを用意して、相続財産の金額を試算して良いと思います。

 相続の際は、相続税の申告の有無に関係なく相続手続きが必要で、相続人全員による相続財産の分割を行う必要があります。「遺言書」があれば遺言書の検認等確認手続きが必要となります。民法では法定相続分(上記の場合、配偶者:1/2、長男:1/2×1/2=1/4、長女:1/2×1/2=1/4)が規定されていますが、相続人全員の同意があれば、同意した分割方法や割合で自由に相続できます。

暦年課税と相続時精算課税…

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