視点を変えて可能性を広げるITの新活用術(第8回)犯罪被害防止への備え。店舗の防犯に頼れるクラウド

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公開日:2023.10.02

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 店舗や事業所などへの強盗のニュースをたびたび目にするが、近年は実行犯と主犯が役割分担する組織的な犯罪も増えている。2023年5月に東京・銀座の高級時計店を襲った強盗事件では数億円の被害額が生じた。逮捕された10代の実行犯は、高額報酬を得られるいわゆる「闇バイト」に応募し、犯罪意識が少ないまま指示に従って強盗を実行したという。

 警察庁の統計を見ると、「侵入強盗」は減少傾向にある。しかし、2022年は前年比約20%の増加に転じている。2022年の侵入強盗の発生場所別で件数を見ると、住宅以外が約5割と過半数を占めている。全体件数の36.9%が商店で、パチンコ店、ホテル・旅館、深夜飲食店などの生活環境営業が9.0%、金融機関等6.2%などが続く。店舗や事業所などの防犯対策は今後も不可欠だと考えられる。

 侵入強盗などへの防犯対策としては、防犯ガラスの設置やセキュリティシステムの導入などが有効だ。また、店内・店外に防犯カメラを設置する方法も効果がある。目に見える場所に防犯カメラを設置すれば犯罪抑止効果を見込める他、被害に遭った際も犯罪者の姿や犯行の様子を記録できる。外部に対してはもちろん、店内に設置した防犯カメラは、従業員による不正行為を防ぐという効果もある。店舗などでは、売上金の管理方法の工夫やキャッシュレス決済の導入も防犯対策になるだろう。

監視カメラの導入ハードルが下がる

 防犯ガラスやセキュリティシステムの導入はコスト負担が生じ、急な対応は難しい。防犯カメラも、これまでは設置工事や場所の確保、コストなどを考える必要があっただろう。しかし、クラウド型カメラの登場により、導入や運用のハードルは必ずしも高くはなくなった。店舗やオフィスの様子を監視したいならば、クラウド型カメラを設置するスペースを用意するだけで済む。サービス事業者にもよるが、カメラは卓上に設置できる小型のものから、天井に設置するタイプまで選択可能で、レンタル型ならば高額な初期費用はかからない。店舗や事業所のインターネット環境に接続すれば設定が完了する。

 監視カメラで撮影した映像データはクラウド上のストレージに保管されるので、サーバーなどを用意する必要はなく、HDで毎秒30コマといった高精細な映像を保管できる。データの保管期間を1カ月、3カ月、6カ月などから選択できるサービスもあるので、長期間の保管が必要でも安心だ。

 さらにクラウド型カメラのメリットとして、どこにいても現場の映像を確認できる点が挙げられる。従来の監視カメラシステムは、バックヤードなどからモニターで確認するケースが多かった。一方でクラウド型カメラは、クラウドに保存した映像データをパソコンやスマートフォンから視聴できるため、リアルタイムに起きている事象を遠隔から確認したり、多店舗の状況を本部などから一括監視したりすることも可能だ。

AI OCRやクラウドストレージを併用…

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執筆=岩元 直久

【MT】

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