脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第82回)
ブルーライト対策にはうな重?
公開日:2024.03.28
<目次>
・生成AIで作った画像は、ビジネスに使って大丈夫?
・他者の著作物を利用するには、著作権者の許諾が必要
・既存の著作物を侵害しない限り、人間が描いた絵も、AIが描いた絵も同じ
・AIの生成物が「著作物」として扱われる条件とは
文章や画像を自動で生成する「生成AI(Generative AI)」が、続々と登場しています。文章生成AIとしては「ChatGPT」、画像生成AIとしては「Stable Diffusion」などが有名ですが、この他にも多くの生成AIが存在しており、ビジネスシーンにおいて使用を検討している企業も多いでしょう。
その一方で、「本当にビジネスシーンで生成AIを使用して良いのか?」と、ためらっている企業も多いかもしれません。
生成AIは、さまざまなデータを学習したAIにユーザー側が「プロンプト」と呼ばれる指示を送ることで、そのプロンプトに従った文章や画像を生成します。そのため、生成AIで作成した文章や画像を自社のパンフレットやホームページのイメージ写真として掲出しようとする際に、「AIが生成した画像を使って、法的に問題はないのか?」「学習したデータで作成した画像をビジネスに使うと、著作権法に違反しないのか?」と、使用に二の足を踏むケースは十分に考えられます。
こうした疑問を解決するため文化庁は2023年6月に、AIと著作権法の関係を解説した「AIと著作権」を公開しました。この資料によれば、AIで生成したものが著作権違反になるケースもあれば、自社が生成した「著作物」として認められるケースもあるといいます。
同資料はまず、日本の著作権法では「著作物」や「著作権」がどのように定義されているかを解説しています。
同法では著作物について「自分の考えや気持ちを、創作的に表現したもの」であり、文芸や学術、美術や音楽の範囲に属するものと定められています。著作物の創作者(著作者)は著作物を創作した時点で、何の手続きを取らなくても自動的に「著作権」が与えられ、著作権を有する「著作権者」として扱われます。
企業など他者が著作物を利用する場合、その著作者に許諾を得る必要があります。例えば著作物を出版する際には、著作権者から出版社への利用許諾として、出版契約を締結します。ネット上に著作物をアップロードする際も、著作権者から公衆送信の許諾を得ることが求められます。
もし著作権者の許諾を得ず、かつ権利制限規定(引用など、著作物が自由に使える例外的なケース)にも該当しない他者の著作物、もしくは類似・依拠した著作物を利用した場合は著作権侵害と見なされ、刑事罰の対象となります(10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金)。加えて、著作権者が著作権侵害者に対し、侵害行為の停止・予防措置の請求や、侵害により被った損害の賠償請求ができるようになります。
ただし、単なるデータや事実、ありふれた表現、作風や画風などのアイデアは、著作権法による保護の対象には含まれません。
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